夢見る鼻血 
PINT7
 
{ Toヘブン:Sum

  くるな!
  休日は休め!
  自分のために使って







  |д・)ちら 
  
  Fromゴラク:Sun. )



 お見舞いに行きたいと連絡をしたら、店長から返事が来ていた。
 午前中は、部屋の荷物を整理した。ママにはミナと住むことを伝えてあったけれど、「家が決まったから、とりあえずそっち行くね。次の休みに荷物持ってく」と言ったら、クレイジーマミーの干渉はあっけなく「あら、そう」だけだった。彼氏は偉大だな。だけど干渉の矛先がそちらに向いているとしたら気の毒にも思う。



 私の部屋は、蝶が見えるところ。ミナは一番大きな部屋を選んでた。ちょうどミナから「仕事が終わったらふたりの城に集合だ」と連絡がきた。ミナはずっと城って呼んでる。
 午後、お城を掃除して、夢見町の病院へ向かう。途中、店長の好きなお団子を買う。お茶屋のおばさんはいつもおまけをしてくれる。
「ねえ、買いすぎじゃない? 太っちゃう」
 語尾では、きっと絵文字が悲しんでいる。
「おばさんからのエールだそうです」
 テーブルには漫画が積まれている。あたしも漫画を用意しようと思ったけれど、男子の漫画はよくわからないし、流行っていそうなものを選んでも、読んでいそうだし……。
「そう考えた結果がこれ?」
 店長と少女漫画。見た目とのギャップが少し面白い。
「一話完結のとか流行りのとかいろいろ」
「衝撃なんだけど。サムはどれが好きなのさ」
「私はこれです、『黄身色と粋』です!」
「江、江戸恋物語……」
「切ない純粋な愛なんですよ」
「いいね、新しいジャンルを開拓する感じ。ありがとう」
 店長はいつもちゃんとお礼を言う。あいさつもそうだけれど、店長のなにげない言葉には、心を和らげる不思議な魅力がある。
「撮影部屋に住むんだって?」
「はい。今日から泊まろうかなって思います」
「ジャンプしても暴れてもオッケーだよ。下、俺の部屋だし」
「え、そうなんですか」
「聞いてないの? 俺の下にはミケ。上はユガ。安心、安心」
 そんなの、聞いてなかった。
「確かに安心ですね」
「また物騒になってきたからなー。昨日も大変だったね。よかったよ、無事で。仕事終わりは、しばらくミケ護衛にする」
 ユガさんの手にナイフが刺さった瞬間が過る。
「ユガさんケガ大丈夫ですか。あたしをかばってくれて」
「そういうことだったのか。ミケにはそれとなく聞いたけど、なんにも言わないからな、あいつ。かすり傷でしょ、だいじょぶだいじょぶ。ユガは無敵なのさ」
 刺されたことを言ってないのかもしれない。 
「それにしてもよく一週間頑張ったね。今回ばかりは休みにしようと思ってたから、サムに助けられたよ」
「ユガさんいてくれたから心強かったです」
「ちゃんと接客できてたぁ? 不愛想だからなー」
「そこがいいんじゃないですか」
「そうだな。ユガが満面の笑みだったらそっちのほうが怖くて、俺漏らす自信あるもん。あ、明日は、ユガ忙しくて行けないんだ。代わりに甘いソース掛けるから」
「カラメルさんですか」
 初期メンバーのひとりだ。デザイナーをしていて、マスタアドの衣装も担当している。店名『MAYS.』のピリオドに当たる。仕事にかかわるときは、ピリオドを外してSAUCEと明記する。元のメンバーを大切にしているのがわかるエピソードだ。
「そいで日曜日から俺が行くから、それまで店頼むね。ああ、早く戻りたいよ」
 ライムモヒカンとピンク団子のハーモニーは、夕焼けをpopに弾け飛ばした。
「漫画、読んでてください」
「うん。今日はほんとにありがとう」
 店長の可愛らしい笑顔は無敵だ。