青い傷あと



 孤独に縁取られた月が、孤独の影を落とした。

 絶望の隅で花が咲いた。


 夜が、始まったのだ。




 あいいろの空が揺蕩う。

 その美しい青を、花片に映る青を、月は見ていた。


 「あの美しい青を、纏うことができるのなら。それとも。」


 月は思考する。

 空に飲み込まれ、あいいろの中で沈みゆくことを。

 星屑たちは無関心に瞬いて、また変わらず夜は続くのだろう。

 なにを照らせずとも。





 あいいろの空が揺蕩う。

 その美しい青を、月に宿る青を、花は聴いていた。


「あの美しい音を奏でることができるのなら」


 花は歌う。

 花片が朽ち、あいいろに解けるまで。