クリームソーダ【小説/完結】

忘れられない温度がある。

今でも傷口を舐めるシアの感触を覚えている。
粘膜の湿り気でさえも確実に。

取返しのつかない肉体的破損は傷跡の疼きを麻痺させた。

置き去りにした過去の中に『クリームソーダ』の光景があった。

気泡に閉じ込めた思い出が再び弾けだす。




2009年頃、コンテストに向けて書いた短編小説。
佳作賞受賞。


※前のペンネーム

※誤字脱字有り